アイコスで食欲増加する？原因と対処法とは？

「電子タバコであるアイコスを使用するようになってから食欲増加が見られるようになった」という声は実際によく聞きます。

ですがアイコスはタバコであり、食欲を増幅させるような成分は特に含まれていません。それなのにどうして食欲増加という現象が起きるのでしょうか。

今回の記事では、アイコスを使用したことによる食欲増加のメカニズムについて説明します。

食欲が増えるのではなく元に戻る

アイコスを服用したことによって食欲増加という現象がおきたというのは間違いです。

正確には「紙巻きタバコから電子タバコに切り替えたら食欲が戻ってきた」ということであり、その秘密はニコチンにあります。

ニコチンはタバコに多く含まれている成分の1つであり、煙を経由して肺から血液へと取り込まれます。

血液に侵入したニコチンは、最初に脳の視床下部にあるニコチン性アセチルコリン受容体が活性化され、同時にプロオピオメラノコルチニン細胞ニューロンも活性化し、連動するように満腹中枢に関係する神経細胞が活性化して食欲が抑えられるようになります。

ところがアイコスなどの電子タバコは、タバコでありながらニコチンはほとんど含まれていません。

紙巻きタバコは1本に付き6mg〜10mgのニコチンが入っているのですが、電子タバコの方は0.5mgから1mgほどであり、おおよそ10分の1位です。

ニコチンがほぼ無いので、満腹中枢に関係する神経細胞もまた活性化されず、それによって食欲が通常通り機能するようになります。

つまり電子タバコは食欲を増幅させるというよりは、食欲を元に戻す作用があるといったほうが良いかもしれません。

間接的に食欲を抑えている要因

食欲増加は、タバコ内に含まれているニコチンが少ないということが原因でしたが、他にも間接的な要因があります。

その一つが「タールが少ない」ということです。

タールは、黒や焦げ茶など褐色をした粘り気が強い油です。タバコの煙を経由して体内に取り込まれると、肺や喉などに蓄積されていき、その働きを妨害するようになります。

そしてそのタールは舌にも蓄積するようになります。これによって味覚が鈍くなり「何かを食べたい」という欲求が減少するようになるのです。

これに対して電子タバコは煙ではなく水蒸気がメインであり、油分であるタールはほとんど含まれていません。紙巻きタバコから電子タバコに切り替えると取り込まれるタールの量が減少し、肺や喉そして舌に蓄積されていたタールが消えていくようになります。すると味覚が元に戻り、食べ物が美味しく感じるようになった結果、「多くのものを食べたい」と思うようになり食欲が増加するのです。

2つ目の要因は「一酸化炭素が減少する」ことです。

血液中にはヘモグロビンというものがあり、体内ではそれを使って肺から各臓器に酸素などを運搬しています。ところが紙巻きタバコによって一酸化炭素が体内で増えると、ヘモグロビンと結合してしまいその働きを阻害してしまいます。

これにより胃や腸などの消化器官の働きが鈍ってしまいます。

ところが電子タバコは服用しても一酸化炭素はあまり増加しません。そのため一酸化炭素によって低下していた消化器官の働きがもとに戻り、たくさんのものが食べられるようになるので食欲が増加していきます。