平成28年度の診療報酬の改定によって、これまで保険診療の対象になれなかった若年層のニコチン依存の方も、禁煙外来を保険診療の対象として受診できるようになりました。
以前までは、1日に吸っているタバコの本数と喫煙年数をかけた数字が200以上であることが、保険診療を受けるための条件になっていたのですが、その条件が35歳未満の若年性ニコチン中毒者に限り、前述した喫煙指数が200未満であっても保険診療の適応が可能になりました。
結婚を期に禁煙を考えている方や、子供が生まれる家庭の方、職場や生活圏内の禁煙化に苦しんでいる方は、ぜひこの機会に禁煙外来を選択肢の1つにしてみてはいかがでしょうか?
禁煙外来について
禁煙を志したときに、本当に自分はタバコをやめることができるのか、いざ実行しようとするとその依存性からどなたも強い不安を抱かれると思います。禁煙外来を受けるまでの、自主的な禁煙で失敗している人は多く、その経験が更なる不安になるからです。
しかし、禁煙外来では自主的な禁煙とは違って、気合いや根性だけでニコチン依存症に立ち向かうわけではなく、医師や看護師によるニコチン依存症に対する説明やそれに伴う医療的な対策を行ったり、薬剤師による服薬の指導や、禁煙を手助けしてくれる非常に有効な禁煙補助薬などの処方があります。
保険適用内で禁煙治療を受ける
ニコチン依存症への保険診療対象の条件についてですが、先述した様に診療報酬の改定が行われたため、若年層へのニコチン依存者への禁煙外来の敷居は非常に低くなったと言えます。
保険診療の対象になるニコチン依存者は、スクリーニングテストにて判定され、直ちに禁煙を希望する個人であることがまず条件になります。
そして、34歳までの年齢ですとこの2つの条件で保険診療の対象に入ることができます。
35歳以上ですと、この2つの条件に追加して先述した喫煙指数の項目が必要になるため、禁禁煙外来の受診のハードルが上がってしまいます。禁煙外来の利用は早ければ早いほど良いでしょう。
禁煙治療スケジュール
基本的には12週間の間に5回の診療があります。
禁煙治療は12週間が基本でその間に診療を5回受ける様な流れになります。治療中に最も大切で重要なことは、担当の医師に相談なく禁煙治療を中断しないことです。一度説明を受けて診療を行ったから、あとは自分の力で禁煙できると、受診を中断する人が後を絶ちませんが、そうした人たちの最終的な禁煙成功率は高いとは言えません。
5回の診療をすべて受けた人と、診療を中断した人の成功率を比べてみると、すべての診療を受けた人の最終的な禁煙成功率は50パーセントなのに対して、途中で診療を中断してしまった人の最終的な禁煙成功率は20パーセントに満たないほどです。では、なぜ診療を途中で中断すると禁煙を成功させることができないのでしょうか?
それは、中断したことによって診療で担当医師のアドバイスや薬の処方が受けられなくなるためです。それだけ、自分一人の力で禁煙を成功させることは難しいということです。ぜひ、禁煙外来を受けられる方は、担当医師と一緒に12週間の禁煙治療を最後までやり遂げましょう。
初回の診療で行われる内容
初回の診療では、ニコチンの依存の度合いをチェックして健康保険等の適応ができるで程度の依存度合いかを調べる作業が行われます。また、患者の息に含まれる一酸化炭素の量を調べる検査も並行して行われます。
禁煙治療が可能という結果が出たら、改めて禁煙治療の開始日を決めて、禁煙補助薬の使用方法についての説明を受けることになります。また、患者の健康の状態を確認したり、体内のニコチンが無くなった時の対処法などのアドバイスを受けることになります。
以下に初回診療の流れをまとめてみます。
- ニコチン依存症かどうかのチェックが行われる
- 一酸化炭素濃度の測定が行われる
- 禁煙開始日を決定して、禁煙宣言書にサインをする
- 禁煙経験の確認と、それに伴ったアドバイスが行われる
- 禁煙補助薬を医師と相談して選択することになります
薬の効果や副作用のチェック
初回診療から二週間後、四週間後、八週間後、十二週間後に診療を受ける流れになります。初診から二週間後以降の診察では、次の様な項目のチェックが成されます。
まず、当たり前ですが診察があります。
ここで禁煙の状況の確認が行われ、状況の確認、体調のチェックなどを診察します。次に体内の一酸化炭素量の測定が行われて、禁煙を継続するためのアドバイスが担当の医師から医学的な見解で成されます。その後、最後に禁煙補助薬が効果的に使用されているか、思った様な効果が表れているか、副作用の対応はどうするかなどの話があって基本的には以上になります。
禁煙治療の診療内容(全5回)
通院2回目
禁煙を始めて間も無い頃なので、禁煙によるニコチンの離脱症状に悩まされる患者さんが多い時期になります。禁煙外来の場合は、こういったときに担当の医師が一緒に解決策を考えてくれますので心強いです。初診で行った一酸化炭素量を引き続き測定しますので、禁煙ができているかどうかはここで判明してしまいます。禁煙ができていれば、一酸化炭素の量はタバコを吸わない人と同程度の値になる時期でもあります。
通院3回目
基本的には通院2回目と一緒です。禁煙によって体調が改善されていくのが自覚できる頃合いになります。
通院4回目
禁煙を続けて行うことが苦ではなくなってくる時期です。体重が増加してくる患者さんが増えてくる時期でもありますので、担当医師から食事や運動についてのアドバイスや改善点を指摘されやすい時期になります。
通院5回目
禁煙プログラムの最終回になります。ここまで頑張って禁煙ができていれば、これから先も医療機関の受診なしに禁煙を続けていける自信ができたはずです。
ただし、ずっと禁煙を続けていくためにも、自分が禁煙した理由や、タバコの有害性など、禁煙のポイントになっている部分を忘れずに記憶に刻んでおくことが非常に大切になります。禁煙治療を12週間にわたってやり遂げた、という強い自信を持って、これからも禁煙を続けていってください。
悩みや気になる点があれば、最終的にここの診療で医師と全て詰めておく話になりますので、禁煙に関して聞いておきたい学術的なことがあれば、忘れずに聞いておきましょう。あなたの禁煙の成功が、家族や周囲の人の幸せにも繋がるはずです。
まとめ
禁煙外来の若年層向けの保険診療のハードルが下がったこともあって、ますます注目が集まっている禁煙外来ですが、まずは自身で禁煙の努力をすることが大切です。
その中で、どうしても自身の力だけではどうにも禁煙ができそうもない時に選択肢として上がってくるのが禁煙外来になります。
税金を使って、治療として禁煙をするわけですから、その分プレッシャーもありますし、処方される禁煙薬も強力なものです。その分、副作用が強いものもありますので、医師の説明をよく聞いて服用して、健康的に禁煙できるように心がけましょう。
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