近年、世界的な禁煙ブームの広がりによってますます肩身の狭くなってきた喫煙者ですが、東京の喫煙事情はますます厳しくなっていきそうです。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、小池都知事が東京都の受動喫煙防止条例の具体案とスケージュールを提示されました。
更に小池都知事は東京都知事として受動喫煙防止条例の厳格化に加え、都民ファーストの会としても、子どもを受動喫煙から守る条例案として都議会からも禁煙条例を提出しています。
それぞれの条例で、どのような喫煙への制約があるのか気になりますよね。まず最初に受動喫煙防止条例についてまとめていきますのでご覧下さい。
受動喫煙防止条例とは
一般的な紙巻タバコの他に、葉巻や今大流行している加熱式電子タバコもこの定義に含まれます。喫煙に用いられるもの全てが対象となるようです。
受動喫煙防止条例の規定する喫煙禁止場所の範囲についてですが、多数の人が利用する施設などを原則として全て屋内禁煙ということです。これも非常に厳しめの範囲です。
更に受動喫煙防止条例が施設の利用者や管理者に対して求めていることについての規定です。
利用者に対しては施設の区分に応じた喫煙禁止場所で喫煙を防止させて、管理者に対しては施設等の入り口付近に喫煙禁止場所の位置の掲示等を義務付けるそうです。
この条例の実効性の担保については、違反した喫煙本人や施設の管理者に対して、50000円以下の罰金を適用するそうです。
そして気になるこの条例の施行時期についても明言。2019年のラグビーワールドカップに間に合うように完全施行する予定です。
喫煙禁止場所の範囲は?
まず敷地内が全て禁煙になる施設として、病院などの医療施設が挙げられます。次に各教育機関も原則として敷地内が禁煙になります。
小学校、中学校、高等学校の教員をしている喫煙者の方たちは、非常につらいですね。その教育機関に伴った、児童福祉施設も敷地内禁煙の提要を受けることになります。
次に施設の屋内が禁煙になり、尚且つ喫煙専用室の設置も不可になる施設です。
代表的な場所で官公庁がまず挙げられ、次に老人福祉施設、大学や公共の体育館などもこの項目にひっかかってきます。公共性の高い施設が主に受動喫煙禁止条例の適用範囲になる形です。
喫煙禁止対象となる施設は?
ここでは原則屋内での喫煙を禁止するが、喫煙専用室を設けることで喫煙が可能になる施設を挙げていきます。
ホテルや旅館がこの項目に入ってきます。次いでオフィスなどの事務所もこの提要範囲に入ってくることになっています。一般の娯楽施設や、百貨店、駅や空港ビルなどもこの適用範囲だということです。
更にお馴染みの飲食店やラーメン屋さん、居酒屋、バーやスナックなどもこの範囲に入ってくるというのだから驚きです。
それ以外ではバスやタクシーになると、車内禁煙は当たり前で、喫煙専用室の設置も不可という徹底ぶりです。
しかし、鉄道や船舶などは車内禁煙ではありますが、喫煙専用スペースを作ることで喫煙が可能になるそうです。
争点となりそうな例外措置ですが、現案では神奈川県の実例と厚生労働省で検討されているよりもはるかに厳しい案が採用されています。
その例外措置が、30㎡以下の従業員がいない、または従業員全員の同意がある、未成年の立ち入る恐れのない店、というものです。
この例外措置は落とし所としてはあまりにも厳しい条件だということで、今後も議論になっていくことが予想されます。
子どもを受動喫煙から守る条例案とは
先述した受動喫煙禁止条例とは別に、都民ファーストの議員団が提出したタバコの禁止条例についても触れてみようと思います。
子どもを受動喫煙から守る条例案は、レストランや屋内施設、居酒屋やパチンコ店なども含めて屋根のある場所での禁煙を定める条例になっています。
圧倒的な小池百合子人気を誇る現在だからこそ出せる条例案だとも言えますが、今後、都内の喫煙者を取り巻く状況は、どんどん悪くなっていくことは目に見えてわかっています。
愛煙家達の声まとめ
これらの条例に対して、愛煙家たちからは反対の声が上がっています。
喫煙に対して、厳しい条例になるのですから当たり前といえば当たり前ですね。都議会としては子どものため、虐待のおそれがあるときは権力が強引に介入することもあるのだから、タバコを禁止することも問題ないという考え方です。
一方愛煙家たちの声としては、基本的人権の尊重を前面に掲げていることと、
私的な空間に権力が踏み込むことへの懸念などを挙げています。
子どものためという観点からは、虐待は違法だが、タバコは違法ではないのだから同じ論理は通用するはずがない、と主張しています。
この議論に関しては、条例案が出た段階から重ねて議論されており、基本的にはいま記述したようなことの繰り返しで、完全に平行線になってしまっています。
ただ、今回の条例案は都民ファーストから出されていることもあり、都議会の過半数を都民ファーストと公明党が現在では占めているため、条例の可決は時間の問題です。
喫煙の自由、変わりゆく常識
議論が平行線をたどっているこの問題については、現在は日本国憲法を持ち出しての議論になっています。
憲法で保障されている個人の自由は最大限に尊重されるというものと、十二条の自由を乱用してはいけないという項目とのせめぎ合いになっているのが今回の議論を呼んでいるのです。
その議論の中でもわかるのですが、喫煙に対する常識がどんどん変わってきているということを肌で感じずにはいられません。
喫煙に伴う、善と悪の境界線が変化してきて、そこの境目にいた喫煙者たちが今、大きく反対の声を上げているのです。
ただ、残念ながら現代の市民が持っている共通の善に喫煙は含まれません。
タバコはこのまま時代が進めば、人に隠れて吸わなくてはいけないような後ろめたい存在になっていってしまうでしょう。
都民ファーストもこのまま、喫煙に対する条例を押し出した状態で次の選挙も圧勝するでしょう。なぜなら、選挙は、民主主義は多数決だからです。
現在では喫煙者、タバコ推進派は紛れもなく明らかな少数派になっています。常識は時代とともに変わります。多くの喫煙者を含んだタバコという概念も、その時代の波に押し出されていくでしょう。
まとめ
以前の民主党政権時に、たばこ税の大幅アップを押しとどめた当時の野田首相は、それを機に人心を手放し、陥落しました。
都議会レベルでも、国政レベルでも、政界で躍進するためには、現行の流れである禁煙ブームに乗っかるのが吉です。逆に禁煙に大きく舵を切れない政党は、伸びることはないでしょう。
それくらい現代の日本社会は間違いなく禁煙社会になってしまいました。
喫煙家は、現在日本の全人口の1割を割ろうかというくらいに減少してきています。どんどん肩身が狭くなっていく喫煙者は、罰則など受けないよう条例の施行日程などニュースでチェックするように心がけたほうが良いでしょう。
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